今年最初のインタビューは昨年北海道で行われた全国ひきこもり家族会連合会の大会で講演された田中康雄さんです。こちらです→
本年3月29日に行ったものですが、自分自身が少しスランプというか、親のことも含めてコロナウイルス感染に囚われていて(けっこうな人がそこに陥ったのではないかと思います)作業が進まず、この8月まで編集が遅れに遅れてしまいました。事情を快く受けいれてくれ、原稿の校正を手早く手がけてくれた田中先生には感謝に堪えません。
内容は聞いた当時は正直言って感情や理性(?)の幅が狭まった状態のなかに自分もいたと思うので、ちゃんと内容を感受できていなかったのですが、落ち着いてちゃんと聞き返し、内容を読み返すと自分でもこれはたいへんに深い素晴らしい話が聞けたといま、思っています。
基本的には、ひきこもりや不登校について聞く話ですが、国や社会のリーダーシップ論まで幅を広げてしまいました。(そういう時期でもありました)
いずれにしても人と人との「関係性」に着目すると、どれもたいへん納得される、整理に役に立つ話ばかりでした。家族の子に対する役割の関係、親の子に対する役割意識の変容、それが総体として社会や国の意識の変化のなかでさまざまに起きている子どもなどを中心にした安心感の変化に伴う課題。それは広げると一国のリーダーのもとでどう人が社会を受け止めているのかにまでつながることだと思いました。
一概には言えませんが、児童精神科医としての田中さんのお話を伺うと、お子さん本人の本質的問題というよりも、親も含めた社会意識の変容のなかで子どもたちも、そして親も戸惑いがある。それは個々の人たちが自由な個人になり、同時に水平な関係を求めるなかで、バランスをどのようにとったらいいのか、という割と答えとしては簡単ながら、実は実践が難しいことにあることに起因すると思いました。
僕らの親の時代を彩る昭和の時代のように、役割をこなしていればよし、とされる時代ではないので。そういう、ミクロからマクロまで、現代的な課題のなかの戸惑い、という視点で考えてみる。そんな良い機会となりました。
田中先生、ありがとうございました。