2020年4月4日土曜日

北川眞也さん(三重大学准教授)のインタビュー後編をお届けします。

 三重大学の北川さんのインタビュー後編部分、ほぼ3か月を超えてしまいましたが、本日お送りします。遅れて大変申し訳ありません。こちらです→
 その代わりこの後半部分は大変に深く、ディープな内容で、学術的にも価値のある内容になっていると思います。後半はイタリアの「反労働」の運動の研究とともに、北川さんのもう一つの柱である移民、難民を通して見る社会や国家の変容の道筋を辿る研究や活動の領域です。
 後半の半分は中心はEU圏の難民問題を中心に話を伺いました。話を伺ったいまから丁度一年ほど前はイタリアの政権の中に右翼政党「同盟」が入っていたため、シリア内戦などからあふれ出したシリアからの難民、アフリカから地中海を通って渡ってくる難民への仕打ちやEUの対応が象徴的にあふれてた頃の話。
 そしてまた別な話題として、日本などを中心として分断化された不安定労働者や、労働から逸脱した人々がその問題を自己内面化することによって、問題を政治化することができないでいる状況について。話題にかかわって、象徴的にフランスの精神科医でアルジェリア戦争にもかかわったフランツ・ファノンの話。そして北川さんがフィールド・ワークをしていたイタリアから最も南に位置する島、ランベトゥーザ島における極右、国家主義的になっていく議員と、想像力を駆使してエンパシー的に難民と向き合うミュージシャンの話を両者対比的に教えてくれたりしました。

 問題は大変に深く、人として生まれ、人らしく生きていきたい、でもそこに障害となる生まれながらの環境や境遇がある。それらを自責に持っていくのではなく、社会化、政治化していくのが大事であると。乱暴に言えばそういう感じでしょうか。
 その「乱暴」な見立てを深く、繊細に語っていただきました。

・・・しかしいまの状況は誰にも想定がつかないものでした。ご存知のいまの新型コロナウイルスによるイタリアの惨状です。また同時に、それはもはやイタリアという外部に起きていることではなく、日本がこのイタリアの惨状から学ぶべきことが急務になりつつあるはずですが、現在進行形で起きている日本の為政者の差配は実際欧米から起きていることからどれだけのことを学んでいるのか…。暗澹たる思い。

 予断を許さず、固唾をのむのがいまの私たちの状況ゆえ、どうしてもコロナウイルスの現在について意識が向くかもしれません。
 ですが、いまの労働者ではなく、国家が行った「ロックダウン」。ぼくはもちろん医療崩壊が起きている、或いは起きそうである意味において人々の危機が極力起きない意味で賛成していますが。
 各国各自の個性による差配の結果においてはこのインタビューで語られる内容を参考にしなければならない局面がやってくるかもしれません。
 
 良く生きたい、いまのコロナ禍はなかなかどこにも逃げようのない、むしろ本当にひきこもってゆっくりする術を学ぶ先が見えない状況を学ぶ時期ですが、良く生きていきたい「その後の世界」が矛盾に満ちており、人間の毒が顕現してしまった時には、北川さんが語る世界から学ぶことが多くなるかもしれません。
 …学んでいきましょう。